メモ

和田寿郎氏逝去のニュース

和田寿郎氏が2月14日に亡くなりました。 「脳死臓器移植」という問題、さらには日本における「生命倫理」の歴史を考えるうえで、重要な位置を占める「和田心臓移植」の執刀医として、文献・資料等を通してでしか知りませんが、ご冥福をお祈りしたいと思いま…

ノーベル医学生理学賞

久々の更新になってしまいました。 明日の講義の準備をしながら、ノーベル財団のHPで、医学生理学賞の発表をライブ動画で見ていました。 発表の20分後には毎日新聞で速報が出ていますが、IVF(体外受精)技術の開発でロバート・エドワーズ氏に授与されました…

「藤田先生 お別れの会」の案内

先日のエントリで書きました、慶應義塾大学文学部教授の藤田弘夫先生がお亡くなりになったことに関連して、文学部社会学専攻が下記のように「藤田弘夫先生 お別れの会」を執り行うそうです。文学部社会学専攻の先生方が主催されますが、学内・教員に閉じたも…

藤田弘夫先生のこと

ごくごく私的なことを書きます。 長年に渡り指導をして頂いた、藤田弘夫先生のことです。 http://hiroofhp.hp.infoseek.co.jp/

第1回高遠ブックフェスティバル

2009年8月29日(土)と30日(日)に開催された高遠ブックフェスティバルに行ってきました。 高遠というのは、桜(タカトオコヒガンザクラ)の名所として、あるいは、その桜の名所となっている高遠城(現在は城址公園)で有名かもしれません。ちなみに高遠城…

「なぜ、ヘイ・オン・ワイで「古書」を買うのか?」と「医療ツーリズム」

7月発行の『三田社会学』という雑誌の「特集:古書流通から見た地域社会」に拙稿「なぜ、ヘイ・オン・ワイで「古書」を買うのか?」が掲載されました。 これは『神田神保町とヘイ・オン・ワイ―古書とまちづくりの比較社会学』に書かせてもらったコラムと200…

クマムシのクリプトビオシス

衆議院での「臓器移植法A案」可決以後、採点やら研究会やらに追われ、気がつけば1週間ほど放置していました。 懐かしい方からのコメントや、刺激的なコメント、トラックバックも頂きましたが、お返事できておらず申し訳ありません。ところで、「クマムシ」…

脳死臓器移植と医学・医療技術の進歩と価値観

「臓器移植法改正案」の衆議院での審議は、今日午後の本会議での簡単な討論を終え、18日にも、いよいよ採決という状況になりました。 (未熟者ながら)「脳死臓器移植」の社会的文化的側面を研究してきた者として、少し広い視野から、この問題を考えてみたい…

アメリカの「中絶」/日本の「脳死」

日本で「脳死」をめぐる議論に決着がつかないことを「遅れている」と言われることがありますが、文化・社会が異なれば、社会問題化する「生命倫理の問題」も変わります。よく例に挙げられるのは、欧米では「生命の始まり」に関わる「中絶」や「胚性幹細胞(…

世論調査は何を意味しているのか?〜社会的合意をめぐって

最近は、「社会的合意」をめぐる議論がそこまで盛り上がらないせいか、内閣府による世論調査の数字が独り歩きするような状況ではないので「ホッ」としていたのですが、先日の厚生労働委員会での審議でも、「世論調査の結果」に言及されつつ、「脳死は人の死…

感染症対策と個人の権利

豚インフルエンザというのか、もう新型インフルエンザと呼ばれるのか、パンデミックの危険性が高まったようです。5月1日深夜1時の厚労大臣の会見をTVでみて(別の番組をみるつもりでいたのですが…)、感染症と生命倫理(バイオエシックス)に関する研究と…

代理出産と特別養子縁組

2009年4月22日に複数のメディアが、代理出産により誕生した「子ども」と、代理出産の依頼人となった「夫婦」との、特別養子縁組が成立していたことがわかったと報道しました。 報じられていたケースは、生まれつき子宮のない女性の代わりに、その女性の母親…

「代理母」と貧困

ロイター通信の配信の記事に、「貧困から「代理母」の道選ぶインドの女性たち」というものがありました。 ロイター通信の記事 昨年、日本人男性がインドで代理母を雇い、出産させた赤ちゃんがインドを出国できないというニュースがあり、貧しい女性が「お金…

ヘイ・オン・ワイ(Hay-on-Wye)とリチャード・ブース

イギリスの田舎にある「本のまち」、ヘイ・オン・ワイ。 このまちを語る上で、欠かせないのが、リチャード・ブースの存在。ヘイは、ブックタウン運動の成功例として広く知られていますが、その立役者ブースがやってきたことを、マネするのは、なかなか困難な…

書評「動物からの倫理学入門」の補足

先日の『図書新聞』(2009年4月4日号、第2912号)で書評させて頂いた伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』が、評判になっているようです。→ ●2009年3月27日のエントリー「英米系の倫理学についてのテキストとしては、とてもよく出来ている」というのが、共通…

豚のPちゃん

『豚のPちゃんと32人の小学生―命の授業900日』を読みました。映画にもなって、ずっと気にはなっていました(映画は見逃してしまったので…)。僕も高校で「生命倫理」に関わる内容の授業を行っているので、「命の授業」の実践として、どのようなことが行われ…

高遠「本の家」と「長藤文庫」

『神田神保町とヘイ・オン・ワイ―古書とまちづくりの比較社会学』の執筆に加えてもらったこともあり、古書を中心としたまちづくり、ブックタウン運動に、興味を持ち始めました。その延長で3月末に、高遠へ行く機会がありました。高遠は、武田信玄の五男であ…

書評「動物からの倫理学入門」

今週発売の『図書新聞』2009年4月4日号(第2912号)で、『動物からの倫理学入門』の書評をさせて頂きました。 この本は、「動物倫理」という領域を「倫理学」の立場から検討する非常に良くできた入門書です。 「動物倫理」に「倫理学」の立場から、というと…

優生学と自己像

『現代人の社会とこころ―家族・メディア教育・文化』で、イギリスでの優生学の登場と当時の社会状況について、「自己像」をキーワードに短いコラムを書かせて頂きました。3月23日刊行予定です。社会学では、「こころ」をどのように考えてきて、そして考え…

ヘイ・オン・ワイの古書店街を歩く――古本の魅力

『神田神保町とヘイ・オン・ワイ―古書とまちづくりの比較社会学』という本に、イギリス(ウェールズ)のヘイ・オン・ワイという古書の村についてのエッセイを書きました。そのエッセイのタイトルが、「ヘイ・オン・ワイの古書店街を歩く――古本の魅力」です。…

書評「エンハンスメント」

『週刊読書人』さんのhttp://www.dokushojin.co.jp/80215.htmlで、『エンハンスメント―バイオテクノロジーによる人間改造と倫理』の書評をさせてもらいました。ちょうど昨年の今ごろですね。 この本は、150ページほどのものながら、「エンハンスメント」とい…

エドウィン・チャドウィック――都市空間と公衆衛生

最近、形になった仕事として、『世界の都市社会計画―グローバル時代の都市社会計画 (アーバン・ソーシャル・プランニングを考える)』に「エドウィン・チャドウィック」という人物についてのエッセイを書かせてもらいました。 チャドウィックという人は、19世…