生命倫理

和田寿郎氏逝去のニュース

和田寿郎氏が2月14日に亡くなりました。 「脳死臓器移植」という問題、さらには日本における「生命倫理」の歴史を考えるうえで、重要な位置を占める「和田心臓移植」の執刀医として、文献・資料等を通してでしか知りませんが、ご冥福をお祈りしたいと思いま…

ノーベル医学生理学賞

久々の更新になってしまいました。 明日の講義の準備をしながら、ノーベル財団のHPで、医学生理学賞の発表をライブ動画で見ていました。 発表の20分後には毎日新聞で速報が出ていますが、IVF(体外受精)技術の開発でロバート・エドワーズ氏に授与されました…

『メタバイオエシックスの構築へ――生命倫理を問いなおす』

昨秋からいろいろあって、このブログの更新が滞ってしまっていました。 藤田弘夫先生の「お別れの会」のご報告もまだでした。それについては、また改めてさせて頂きます。さて、昨日2月25日にNTT出版から小松美彦・香川知晶編『メタバイオエシックスの…

「なぜ、ヘイ・オン・ワイで「古書」を買うのか?」と「医療ツーリズム」

7月発行の『三田社会学』という雑誌の「特集:古書流通から見た地域社会」に拙稿「なぜ、ヘイ・オン・ワイで「古書」を買うのか?」が掲載されました。 これは『神田神保町とヘイ・オン・ワイ―古書とまちづくりの比較社会学』に書かせてもらったコラムと200…

「いのち」から現代世界を考える

2008年度前期に慶應義塾大学経済学部で展開された連続講義が、講義録として一冊の本になりました。 高草木光一編『連続講義「いのち」から現代世界を考える』(岩波書店、2009年)です。 岩波書店のサイトでは、大村次郷氏によるカバー写真を見ることができ…

脳死臓器移植と医学・医療技術の進歩と価値観

「臓器移植法改正案」の衆議院での審議は、今日午後の本会議での簡単な討論を終え、18日にも、いよいよ採決という状況になりました。 (未熟者ながら)「脳死臓器移植」の社会的文化的側面を研究してきた者として、少し広い視野から、この問題を考えてみたい…

アメリカの「中絶」/日本の「脳死」

日本で「脳死」をめぐる議論に決着がつかないことを「遅れている」と言われることがありますが、文化・社会が異なれば、社会問題化する「生命倫理の問題」も変わります。よく例に挙げられるのは、欧米では「生命の始まり」に関わる「中絶」や「胚性幹細胞(…

感染症対策と個人の権利

豚インフルエンザというのか、もう新型インフルエンザと呼ばれるのか、パンデミックの危険性が高まったようです。5月1日深夜1時の厚労大臣の会見をTVでみて(別の番組をみるつもりでいたのですが…)、感染症と生命倫理(バイオエシックス)に関する研究と…

代理出産と特別養子縁組

2009年4月22日に複数のメディアが、代理出産により誕生した「子ども」と、代理出産の依頼人となった「夫婦」との、特別養子縁組が成立していたことがわかったと報道しました。 報じられていたケースは、生まれつき子宮のない女性の代わりに、その女性の母親…

そこに「生命倫理研究者」はいなかった…

4月21日の『毎日新聞』夕刊に、「臓器移植法改正」をめぐって衆院厚生労働委員会の小委員会で、参考人質疑が行われたとの記事が大きく載っていました。(東京版では一面トップ) 時事ドットコムにも、短い記事があります。毎日新聞の記事によれば、参考人と…

「代理母」と貧困

ロイター通信の配信の記事に、「貧困から「代理母」の道選ぶインドの女性たち」というものがありました。 ロイター通信の記事 昨年、日本人男性がインドで代理母を雇い、出産させた赤ちゃんがインドを出国できないというニュースがあり、貧しい女性が「お金…

書評「エンハンスメント」

『週刊読書人』さんのhttp://www.dokushojin.co.jp/80215.htmlで、『エンハンスメント―バイオテクノロジーによる人間改造と倫理』の書評をさせてもらいました。ちょうど昨年の今ごろですね。 この本は、150ページほどのものながら、「エンハンスメント」とい…