高遠「本の家」と「長藤文庫」

神田神保町とヘイ・オン・ワイ―古書とまちづくりの比較社会学』の執筆に加えてもらったこともあり、古書を中心としたまちづくり、ブックタウン運動に、興味を持ち始めました。その延長で3月末に、高遠へ行く機会がありました。

高遠は、武田信玄の五男である仁科盛信織田信忠の大軍を相手に戦ったことで有名な高遠城の城下町。そしてこの時期は、桜で有名なところです。

高遠には、ヘイ・オン・ワイの存在に触発されて、「本の町」をつくろうとしている方々が運営されている高遠 本の家があります。
JRバスの高遠駅の向かい側にある「本の家」は、明るい雰囲気のお店でした。神田神保町にある古書店のイメージではなく、オシャレなブックカフェという感じです。そして、このお店を足がかりにして、「本の町」を目指してブックフェスティバルを計画するなど、さまざまな試みで、高遠の町を「本」を軸にして盛り上げてゆこうとされています。
このお店で、コーヒーを飲みながら読書を楽しむ午後を過せたら、なんだか嬉しくなるような感じです。

ところで、高遠の中心地からはちょっと外れた古民家に、高遠 長藤文庫という古書店があります。もともと「本の家」があった場所で開店している古書店です。
こちらは古民家の落ち着いた雰囲気で、とても趣のあるお店でした。

どちらのお店も、マンガだらけの古本屋ではなく、また専門書だらけの古書店でもありません。神田神保町の有名古書店のように何万円もする古書が並んでいるわけでもなく、ヘイ・オン・ワイの正直者書店のように古書がぞんざいに扱われているわけでもありません。
でも、いずれのお店も、高遠方面に足を伸ばしたら、また立ち寄ってコーヒーを飲みたくなる雰囲気のよいお店でした。
電車の駅から遠いのが難点ですが、高遠でちょっと知的な(?)休暇を過すのも、いいかもしれないな、と思いました。