2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

世論調査は何を意味しているのか?〜社会的合意をめぐって

最近は、「社会的合意」をめぐる議論がそこまで盛り上がらないせいか、内閣府による世論調査の数字が独り歩きするような状況ではないので「ホッ」としていたのですが、先日の厚生労働委員会での審議でも、「世論調査の結果」に言及されつつ、「脳死は人の死…

衆議院での審議(インターネット中継)

さて「臓器移植法改正」をめぐって、ついに27日の水曜日に衆議院厚生労働委員会で審議が始まりました。 たまに衆議院のページをチェックするようになって、はじめてインターネット中継の存在を知りました。 もちろん、先日27日水曜日、「臓器移植法改正案」…

「新ブラックジャックによろしく」6巻

大学での講義を終えて、帰りみちに本屋で見つけ、湘南新宿ラインで人目も気にせず読みふけってしまったのは、『新ブラックジャックによろしく』6巻です。 講義や授業では、下手な脳死臓器移植についての本(活字)を読むよりも、『ブラよろ』の移植編を読む…

生体からの心臓移植?

アメリカの臓器移植に関する統計は、「全米臓器調達・移植ネットワーク(Organ Procurement and Transplantation Netwaork)」のページに行くと、最新の情報が入手できて、授業で使うときや、いろいろ考えるときには、役に立ちます。 OPTN: Organ Procuremen…

改正案の比較(3)WHO移植指針との比較

先日のエントリーで、WHOの移植指針について取り上げました。(5月24日のエントリー) せっかく臓器移植法を修正するのであれば、その新しい移植指針に対応できるようにすべきなのではないかと思います。「国際標準に合わせる」というのであれば、なおさら、…

WHOの(新)移植指針について

今回の「臓器移植法改正」論議で、「外圧」として挙げられているのがWHO(世界保健機関)の移植指針改正です。5月のWHO総会で採決される予定だったという、この移植指針の存在が、早ければ今月中とも言われる「改正案」採決を後押ししていたのではないでしょ…

2つの「新型」をめぐって

ここ数日の話題として、2つの「新型」について。 1つは、「新型」インフルエンザ。もう一つは、「新型」水着です。非常勤をさせてもらっている高校に行くと、新型インフルエンザ対策として保健室の前に手の消毒のコーナーが。 さらに授業後、「ちょっと具…

改正案の比較(2)現行法第6条はどう変わるのか

現在、国会に提出されている「臓器移植法改正案」は4つになりました。その比較というか、それぞれの法案について、まだまだよくわかっていない、もう少し考えないといけないのではないかと思う今日この頃です。 先日のエントリーではちょっと横道にそれてし…

「脳死」をめぐる議論の整理

「臓器移植法改正」論議で、ようやく(?)大きな論点となってきたのが「脳死は人の死か?」というものではないでしょうか。 この「脳死」をめぐる議論を簡単に整理しておきたいと思います。

フジテレビ「サキヨミLIVE」について

2009年5月17日夜のフジテレビ「サキヨミLIVE」の「アスヨミ」コーナーで、「臓器移植法」とどう向き合うのか、「小さな命 どう救う? “脳死”に揺れる家族」という特集がありました。 「長期脳死」に関して取り上げられていたので、興味深く見たのですが、残…

改正案の比較(1)

ついに4つになった「臓器移植法改正案」ですが、日本移植学会のホームページで、「改正案」としてあがっているA案、B案、C案、D案についての比較表が掲載されています。 ただし、この比較表は、研究者の目で見ると(そうじゃなくともだと思いますが)、…

生命倫理会議の緊急声明への連名者

5月12日に緊急声明を発表した生命倫理会議ですが、この緊急声明の連名者が公表されていました。 生命倫理会議: 緊急声明 連名者「生命倫理の教育・研究に携わっている大学教員の集まり」ということですが、生命倫理や関連分野の著名な研究者のお名前もありま…

4番目の臓器移植法改正案(D案)

「臓器移植法改正」論議は、いよいよ4つめの法案(D案)が提出されたようです。 ただ、まだ衆議院のHPでは公開されていないようです。*1これまでの報道では、いくつかポイントが挙げられています。 「脳死は人の死か」という論点については、現行法を維…

気にならないと言ってはウソになるニュース

一般の大学院は、修士課程(または前期博士課程)と博士課程(後期博士課程)にわかれます。 修士課程(マスター、M)は通常2年で修士論文を執筆し修了。 さらにその後、博士課程(ドクター、D)は通常3年で博士論文を執筆し、博士号を取得することにな…

常識を疑うのが社会学とはいえ…「技術者の倫理」中間テスト

「まさか」と思いました。 「またか」とも思いました。 でも、それ以上に驚きました。 今日は「技術者の倫理」の授業で、第1回目の中間テスト実施日でした。 先週の金曜日に行った「生命倫理」の中間テストは、最寄り駅を通る路線が遅れ、授業開始時間を繰…

生命倫理会議 臓器移植法改定に関する緊急声明

本日5月12日に、生命倫理の教育・研究に携わっている大学教員の集まりである生命倫理会議(代表・小松美彦)が、緊急声明を発表しました。→ 生命倫理会議 この問題に対して生命倫理の研究者からの発言が、ほとんど聞かれない状況だったことは、先日もチラ…

「臓器移植法改正」論議への視点(メタ分析)

「臓器移植法改正」論議をめぐる新聞メディアの報道を見ていると、議論の立て方が単純化してしまっているように感じます。「改正」論議が政治的な話題になるとともに、新聞メディアでの取り扱われ方も変わりました。それまでは医療や生活の話題の一つだった…

子どもの臓器提供をめぐって

論点整理のつづきです。 今回の「臓器移植法改正」論議の大きな論点(あるいは「改正」の目的)には、(b)子どもの臓器提供をめぐるものがあります。これについてまずは、現行法の状況を確認しましょう。 それというのも、「現在の臓器移植法は、15歳未満の…

「臓器移植法改正」論議の論点整理

新たな「改正案」(D案)が12日にも提出されるとか、WHO総会の会期短縮にともなう臓器移植関連の決議先送りなどで、また少し局面が動き始めた感のある「臓器移植法改正」論議です。 WHOの指針採択先送り関連のニュース http://www.nhk.or.jp/news/k10015…

「生命倫理」中間テスト

今日は、大学での「生命倫理」の中間テスト1回目の実施予定日でした。それも1時限目と2時限目。 しかし、こういう日に限って、大学の最寄り駅を通る路線が人身事故で運転見合わせ… 予定よりも30分以上遅れて大学に到着し、1時限目開始時刻ギリギリに教室…

感染症対策と個人の権利

豚インフルエンザというのか、もう新型インフルエンザと呼ばれるのか、パンデミックの危険性が高まったようです。5月1日深夜1時の厚労大臣の会見をTVでみて(別の番組をみるつもりでいたのですが…)、感染症と生命倫理(バイオエシックス)に関する研究と…

「鋼の錬金術師」と科学の原罪

先日4月26日(日)の夕方に放送されたアニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」ですが、少し考えさせられる内容でした。 このアニメは、「物質を理解、分解、そして再構築する、この世界で最先端の学術」である「錬金術」の専門家=錬金術師が主人公とな…