「臓器移植法改正案」衆議院でのA案可決について

18日に衆議院で可決された「臓器移植法改正案」の「A案」ですが、河野洋平衆議院議長の「花道」論が指摘されています。
臓器移植法改正A案、衆議院可決 - kanjinaiのブログ
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20090619ddm002010086000c.html

毎日新聞」は、5月前半から今回の「改正案」をめぐる審議は拙速すぎるとして、慎重審議を主張していました。また改正案の比較表を掲載する際には、「生体移植」に関する欄をつけるなど、独自性を発揮していた印象があります。
その毎日新聞の記事で、議場の雰囲気とか流れみたいなもので決まったとも指摘されています。確かに、衆議院本会議での採決の場面をインターネット中継で見ていると、「青票(反対票)」を入れる著名議員がいると「おおー」という声が聞こえてくるなど、あたかもA案に「白票(賛成票)」を入れるのが「普通」で、「青票」を入れるのは「信念のある投票行動」というような雰囲気なのかな、と思いました。

そしておそらく、今回の「改正案」は、A案提出者の中山太郎議員(84歳)の「花道」でもあったのではないかと思います。
小泉純一郎氏の投票の際には、ひときわ明るくフラッシュがたかれていましたが、それに対して、中山太郎氏が白票を入れる際には、議場からひときわ大きな拍手が聞こえました。

さて、こうした採決の場面について18日(木)夕方、TBS「総力報道!THE NEWS」では、キャスターの後藤謙次氏が、本会議場の「雰囲気」を激しく批判していました。
「人の死」も関わる議案にも関わらず、審議中の居眠りや談笑。採決中にも聞こえてくる笑い声。A案とD案の違いがわかっていない議員。成立時に「首班指名を受けたかのような」中山太郎氏への拍手。
こうした真剣味にかける議場の雰囲気が本当のことならば、呆れるというか、怒りがこみ上げてくるというか、何とも言葉を失ってしまいます。

何だかんだ言って、国会議員にとって「臓器移植法改正案」の審議は、たくさんある議案のうちの一つでしかなかった、ということでしょうか。


生命倫理会議も早速、A案可決に対する声明を出していますね。生命倫理会議: 衆議院A案可決に対する緊急声明

ひとまず、参議院でこうした「残念な状況」が繰り返されないことを切に願っています。




いちおう、議員の投票行動については、各紙が一覧表をだしています。
たとえば日経のものはこちら。→臓器移植法改正A案への賛否
日経の計算では、A案への賛成票263票のうち、自民党議員によるものが202票だったようです。→臓器移植法A案の賛成率、自民67%民主37%