第1回高遠ブックフェスティバル

2009年8月29日(土)と30日(日)に開催された高遠ブックフェスティバルに行ってきました。
高遠というのは、桜(タカトオコヒガンザクラ)の名所として、あるいは、その桜の名所となっている高遠城(現在は城址公園)で有名かもしれません。ちなみに高遠城は、武田氏の時代には武田勝頼仁科盛信、江戸時代には保科氏、鳥井氏、内藤氏が城主でした。江戸時代には、大奥を舞台にした勢力争いである絵島生島事件の中心人物、絵島が流された地でもありました。現在は伊那市の一部となっています。
一般社団法人 伊那市観光協会 公式ホームページ – おいでな伊那

その高遠で「日本初のブックツーリズム」の試みとして開催されたのが、高遠ブックフェスティバルです。
第1回高遠ブックフェスティバル公式ページ

2500人が来場した、というブログ記事もあります。車がないと訪れるのにはちょっと不便なまちですが、「人が多くて何もできない!」ということもなく、幸い天候にも恵まれ、信州の自然と美味しい食べ物、そして何よりも「本」。なかなか気持ちのいい週末を過せました。


「ブックフェスティバル」というには、「本の量」が決して多くなかったのは気になりましたが、いくつか興味深いものを買えました。
長野県内の出版社さんが展示即売会を開いた「矢沢クリーニング店」の出展ブース(?)では、「安楽死尊厳死」問題に関連して探していた「姥捨て説話」に関する一草舎さんの本を買うことができました。アマゾンでも手に入らない(検索でヒットすらしない)本だったので、ちょっと嬉しいです。ちなみに購入したのは、「信州の名著復刊シリーズ 信州の伝説と子どもたち」のなかの2冊です。ホームページでは「分売不可」でしたが、展示即売会では2冊だけでも買うことができました。
また、「北条ストア」での古本販売会には、団地堂(長野)、あうん堂(金沢)、トムの庭(愛知)、パラディ(東京)、耳をすます書店(東京)、オヨヨ書林(東京)の各書店さんが出展されていました。
ほかにも、3月に訪問した「本の家」さんをはじめ、高遠のまちを歩けば自然と本を売っているお店に出会えたり、まちかどに本棚が置かれていたり、「ブックタウン」の雰囲気を感じることができました。

「本」といいながら、意外と忘れられがちなのは「製本屋さん」かもしれません。ヘイ・オン・ワイにも製本屋が数軒あったりしたのですが、今回のブックフェスティバルにも、美篶堂(みすず堂)さんが出展したり製本ワークショップなどイベントを開催されていていたのは、とってもよかったです。(ちなみに、高遠と伊那市市街地の間に、「美篶」という地域があります。)

お世話になっている大学の先生の学部ゼミ生が、「世界の本の町紹介」ということで写真展示を行ったことに関係して、お邪魔しましたが、もちろん、「世界の本の町」としてもっとも有名な「ヘイ・オン・ワイ」に関する文章も書いたことがあり、これまのエントリーでも何度か取り上げてきたので、研究の延長でもありました。
3月5日のエントリー:ヘイ・オン・ワイの古書店街を歩く4月3日のエントリー:高遠 本の家と長藤文庫への訪問4月12日のエントリー:ヘイ・オン・ワイとリチャード・ブースに関する本のメモ9月8日のエントリー:なぜヘイ・オン・ワイで本を買うのか?

研究とか何とか堅苦しいこと抜きにして、来年も開催予定ということなので、また都合があえば訪れてみたいです。