2009-01-01から1年間の記事一覧

改正案の比較(3)WHO移植指針との比較

先日のエントリーで、WHOの移植指針について取り上げました。(5月24日のエントリー) せっかく臓器移植法を修正するのであれば、その新しい移植指針に対応できるようにすべきなのではないかと思います。「国際標準に合わせる」というのであれば、なおさら、…

WHOの(新)移植指針について

今回の「臓器移植法改正」論議で、「外圧」として挙げられているのがWHO(世界保健機関)の移植指針改正です。5月のWHO総会で採決される予定だったという、この移植指針の存在が、早ければ今月中とも言われる「改正案」採決を後押ししていたのではないでしょ…

2つの「新型」をめぐって

ここ数日の話題として、2つの「新型」について。 1つは、「新型」インフルエンザ。もう一つは、「新型」水着です。非常勤をさせてもらっている高校に行くと、新型インフルエンザ対策として保健室の前に手の消毒のコーナーが。 さらに授業後、「ちょっと具…

改正案の比較(2)現行法第6条はどう変わるのか

現在、国会に提出されている「臓器移植法改正案」は4つになりました。その比較というか、それぞれの法案について、まだまだよくわかっていない、もう少し考えないといけないのではないかと思う今日この頃です。 先日のエントリーではちょっと横道にそれてし…

「脳死」をめぐる議論の整理

「臓器移植法改正」論議で、ようやく(?)大きな論点となってきたのが「脳死は人の死か?」というものではないでしょうか。 この「脳死」をめぐる議論を簡単に整理しておきたいと思います。

フジテレビ「サキヨミLIVE」について

2009年5月17日夜のフジテレビ「サキヨミLIVE」の「アスヨミ」コーナーで、「臓器移植法」とどう向き合うのか、「小さな命 どう救う? “脳死”に揺れる家族」という特集がありました。 「長期脳死」に関して取り上げられていたので、興味深く見たのですが、残…

改正案の比較(1)

ついに4つになった「臓器移植法改正案」ですが、日本移植学会のホームページで、「改正案」としてあがっているA案、B案、C案、D案についての比較表が掲載されています。 ただし、この比較表は、研究者の目で見ると(そうじゃなくともだと思いますが)、…

生命倫理会議の緊急声明への連名者

5月12日に緊急声明を発表した生命倫理会議ですが、この緊急声明の連名者が公表されていました。 生命倫理会議: 緊急声明 連名者「生命倫理の教育・研究に携わっている大学教員の集まり」ということですが、生命倫理や関連分野の著名な研究者のお名前もありま…

4番目の臓器移植法改正案(D案)

「臓器移植法改正」論議は、いよいよ4つめの法案(D案)が提出されたようです。 ただ、まだ衆議院のHPでは公開されていないようです。*1これまでの報道では、いくつかポイントが挙げられています。 「脳死は人の死か」という論点については、現行法を維…

気にならないと言ってはウソになるニュース

一般の大学院は、修士課程(または前期博士課程)と博士課程(後期博士課程)にわかれます。 修士課程(マスター、M)は通常2年で修士論文を執筆し修了。 さらにその後、博士課程(ドクター、D)は通常3年で博士論文を執筆し、博士号を取得することにな…

常識を疑うのが社会学とはいえ…「技術者の倫理」中間テスト

「まさか」と思いました。 「またか」とも思いました。 でも、それ以上に驚きました。 今日は「技術者の倫理」の授業で、第1回目の中間テスト実施日でした。 先週の金曜日に行った「生命倫理」の中間テストは、最寄り駅を通る路線が遅れ、授業開始時間を繰…

生命倫理会議 臓器移植法改定に関する緊急声明

本日5月12日に、生命倫理の教育・研究に携わっている大学教員の集まりである生命倫理会議(代表・小松美彦)が、緊急声明を発表しました。→ 生命倫理会議 この問題に対して生命倫理の研究者からの発言が、ほとんど聞かれない状況だったことは、先日もチラ…

「臓器移植法改正」論議への視点(メタ分析)

「臓器移植法改正」論議をめぐる新聞メディアの報道を見ていると、議論の立て方が単純化してしまっているように感じます。「改正」論議が政治的な話題になるとともに、新聞メディアでの取り扱われ方も変わりました。それまでは医療や生活の話題の一つだった…

子どもの臓器提供をめぐって

論点整理のつづきです。 今回の「臓器移植法改正」論議の大きな論点(あるいは「改正」の目的)には、(b)子どもの臓器提供をめぐるものがあります。これについてまずは、現行法の状況を確認しましょう。 それというのも、「現在の臓器移植法は、15歳未満の…

「臓器移植法改正」論議の論点整理

新たな「改正案」(D案)が12日にも提出されるとか、WHO総会の会期短縮にともなう臓器移植関連の決議先送りなどで、また少し局面が動き始めた感のある「臓器移植法改正」論議です。 WHOの指針採択先送り関連のニュース http://www.nhk.or.jp/news/k10015…

「生命倫理」中間テスト

今日は、大学での「生命倫理」の中間テスト1回目の実施予定日でした。それも1時限目と2時限目。 しかし、こういう日に限って、大学の最寄り駅を通る路線が人身事故で運転見合わせ… 予定よりも30分以上遅れて大学に到着し、1時限目開始時刻ギリギリに教室…

感染症対策と個人の権利

豚インフルエンザというのか、もう新型インフルエンザと呼ばれるのか、パンデミックの危険性が高まったようです。5月1日深夜1時の厚労大臣の会見をTVでみて(別の番組をみるつもりでいたのですが…)、感染症と生命倫理(バイオエシックス)に関する研究と…

「鋼の錬金術師」と科学の原罪

先日4月26日(日)の夕方に放送されたアニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」ですが、少し考えさせられる内容でした。 このアニメは、「物質を理解、分解、そして再構築する、この世界で最先端の学術」である「錬金術」の専門家=錬金術師が主人公とな…

衆議院小委員会での参考人の意見

衆議院の委員会についてのページに、臓器移植法関連の情報があります。以下、備忘録的にまとめておきます。先日、2009年4月21日(火)に行われた衆議院厚生労働委員会小委員会での参考人意見聴取ですが、まだ会議録はできていないようです。※2009年5月5日現…

代理出産と特別養子縁組

2009年4月22日に複数のメディアが、代理出産により誕生した「子ども」と、代理出産の依頼人となった「夫婦」との、特別養子縁組が成立していたことがわかったと報道しました。 報じられていたケースは、生まれつき子宮のない女性の代わりに、その女性の母親…

魍魎の匣

京極夏彦の『魍魎の匣』を、7〜8年ぶりに読み直してしまいました。 2008年10月から12月にアニメ化されて放映されていたこともあり、また、高校生から「面白かった」という反応をもらったこともあり、久々に読み返してみることにしたのです。いろいろな読み…

そこに「生命倫理研究者」はいなかった…

4月21日の『毎日新聞』夕刊に、「臓器移植法改正」をめぐって衆院厚生労働委員会の小委員会で、参考人質疑が行われたとの記事が大きく載っていました。(東京版では一面トップ) 時事ドットコムにも、短い記事があります。毎日新聞の記事によれば、参考人と…

親族への優先提供について(基本的理念と改正案との矛盾)

ここ数日、いろいろと「臓器移植法改正」をめぐる報道がなされています。 与野党の対立が表面化しない「いのち」に関わる法案ということなのか、一見したところ「改『正』」であるからなのか、あるいは、臓器移植法「改正」を求める人々の声が大きくなってい…

「臓器移植法」の改正案について(各法案の原文へのリンク&世論調査結果へのリンク)

昨日も書いた、「臓器移植法」の改正(ひとまず、一般に使われているこの表現を用います)に関して、衆議院厚生労働委員会小委員会にて4月21日(火)午前中に参考人質疑を行い、その後論点を整理するのみで、親委員会である厚生労働委員会での審議を飛ば…

「臓器移植法」の改正…?

ここのところ、「臓器移植法」の改正をめぐる新聞記事をよく見るようになりました。 ここ数年、毎年のように話題になっていますが、今年はいつもより本気度が高いようにも思います。この「臓器移植法」の改正をめぐる議論、提出されている三つの改正案につい…

「代理母」と貧困

ロイター通信の配信の記事に、「貧困から「代理母」の道選ぶインドの女性たち」というものがありました。 ロイター通信の記事 昨年、日本人男性がインドで代理母を雇い、出産させた赤ちゃんがインドを出国できないというニュースがあり、貧しい女性が「お金…

ヘイ・オン・ワイ(Hay-on-Wye)とリチャード・ブース

イギリスの田舎にある「本のまち」、ヘイ・オン・ワイ。 このまちを語る上で、欠かせないのが、リチャード・ブースの存在。ヘイは、ブックタウン運動の成功例として広く知られていますが、その立役者ブースがやってきたことを、マネするのは、なかなか困難な…

書評「動物からの倫理学入門」の補足

先日の『図書新聞』(2009年4月4日号、第2912号)で書評させて頂いた伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』が、評判になっているようです。→ ●2009年3月27日のエントリー「英米系の倫理学についてのテキストとしては、とてもよく出来ている」というのが、共通…

授業者の影響

明日から始まる高校での新学期の授業準備をしながら、いままでの「教え子」のことを思い浮かべてしまいました。「教え子」と言っても、週1回だけの非常勤なので、こちらが勝手に「教え子」だなんて不遜にも思っているだけなのですが…高校で生命倫理に関わる…

風の谷のナウシカ

地元のマンガ専門店で、ついつい、マンガ版『風の谷のナウシカ』全7巻を大人買いしてしまいました。セットではなく、1巻から7巻までバラで、なのですけれど。 もちろん、既に全巻揃えて持っていたので、買ったのは2セット目です。 買ったのはコレクショ…